ある人に言われた。「議員てのは三期以上やらなきゃ仕事はできねんだ。」
反論できる状況でなかったので聞き流してしまったが、おおよそこのようなこ
とが世間一般で言われていることは私も承知している。
その人の言う“仕事”というのが何を意味するのか?例えば大型公共事業の
誘致であるのか、政界でのリーダーシップのことを言うのか?まさか談合の仕
切りとかあるいは交通違反のもみ消しなんてのでもあるまいが・・・・・政治
家の仕事をその程度のことと理解している古い体質の人は今でも多い。
もちろんそんなつもりの仕事を指して言ったわけでもあるまいが、しかし時
代錯誤というか本末転倒な解釈である。個々の能力の差は別として、公正な選
挙によって与えられた4年という任期の間に各々の議員が行使できる権限は平
等であるはずだし、一期、二期の議員では仕事ができないというなら、そのこ
と自体が問題なのではないのか。
実際海老名市選出の県議で言うなら以前から一期、一期、二期と短期間で交
代が行われている。その結果海老名市の県行政が著しく他に見劣りしてしまっ
たと言うならそれは大問題であると思うのだが、現実はいかがだろうか。
先日藤沢市のある市議の方にお会いした。その人は50歳台前半の若さで健
康そうでいかにも誠実さを漂わせた人物であったが、二期を終える今年、議員
を引退すると言う。「公のために尽くすファイトが薄らいだから。」というの
が理由だそうだ。支援者からは強く留意され惜しまれているらしいがご本人は、
「無報酬で(議員を)できるなら続けるが強い信念が若干なりとも薄らいだ状
態で報酬を受け取るわけにはいかない。」と。
こんな引退理由を政治家の口から聞いたことがあるだろうか。実に潔い誠実
な引き際に敬服してしまった。
議員の多選は批判しないが、大切なことは公のために尽くす気力を保つこと。
そういう意味では長く続けて惰性に陥ったり、オリが溜まってしまうことの方
がよほども怖い。と私は思う。
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